MS&AD基礎研究所が、「高齢者運転事故と防止対策」に関する調査の結果を公開しているので紹介します。
全国の男女1,000人のドライバーを年齢別に分けてインターネット上で行なわれ、回答者の最高齢は94歳と、高齢者の本音が伺える調査結果になっています。
年齢が高いほど「運転に対して自信がある」割合が高くなる
「運転に対する自信」を5段階で回答させ「自信がある」と「自信がない」に分けたものをグラフにしています。
「運転に自信がある人」は[60歳~64歳]では4割弱に留まっています。これはまだ自分を客観視出来ているからと考えられます。しかし、この割合は年齢が高くなるに従って上がっていきます。[80歳以上]では7割以上の人が「自信がある」と回答しています。
逆に「運転に自信がない人」は、[60歳~64歳]では25%もいるのがわかりますが、[80歳以上]では5%だけなのは、自信が無い方はすでに車を降りているからでしょう。
出典:MS&AD基礎研究所
80歳以上の6割は免許証の年齢制限に反対してる
「運転免許証の取得に年齢の上限を設けるべきか」という質問に対しては予想通りの回答です。高齢ドライバーを不安視する現役世代は賛成が多く、当事者である高齢者は反対が多くなっています。
とくに[80歳以上]では反対する人が58%と、半数を超えているのが目立ちます。
出典:MS&AD基礎研究所
注意散漫で「ヒヤリ・ハッと」を体験した人が3人に1人
75歳以上のドライバーに「ヒヤリ・ハッと」した体験と、事故につながった危機について聞くと…
【ヒヤリハット経験】
- 第1位:運転中の注意散漫
- 第2位:(見通しが問題で)信号や車、歩行者が見えなかった
- 第3位:左折・右折時の歩行者や自転車との接触(巻き込み)
【事故につながった危機】
- 第1位:ハンドル操作ミス
- 第2位:運転中の注意散漫
- 第3位:前を走る車や停車している車への追突(玉突き)
この中で、3人に1人以上という高い確率の「注意散漫」という項目に該当した場合、乗りなれた自動車の運転がたちまち危険に直面する行為であることがわかります。
出典:MS&AD基礎研究所
[80歳以上]の72%が「運転に自信あり」と回答していることに対して、MS&AD基礎研究所では、次のように説明しています。
多くは長年の運転経験と無事故継続の歴史がベースになっていると推測するものの、視力や反射神経等の身体能力の衰えは必ずあるはずで、この現実と自己認識のギャップは他の多くの調査や研究でも問題視されている。
つまり、高齢になっても若い時と同じ自己流の運転を続けるのが危険になるわけで、ルールに則った運転ができるかどうかこそが安全運転である指標なのです。その良否を判断して説得するためには安全運転を評価するプロである教習指導員がマイカーに同乗して診断するのが一番手っ取り早いわけです。
運転に自信を持った高齢ドライバーに免許返納を促すためにはその根拠となる安全運転ができていないことを理解してもらうしかありません。